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「セリーヌ」のキュロットが進化、「ヨウジヤマモト」と「ロエベ」に見るそれぞれのエレガンス

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パリコレ5日目は、パワーブランドが目白押し。その中から、「セリーヌ」「ヨウジヤマモト」「ロエベ」。パワーブランドの見どころを速報する。新デザイナーによる「イッセイミヤケ」のレポートはこちらから。

 「セリーヌ」のショー会場、アンヴァリッドには、BLACKPINKのリサなど華やかなゲストが詰めかけ、会場外は集まったファンで大混雑だ。会場に足を踏み入れると中は真っ暗。やはりエディには夜が似合う。会場前方で陽炎のように赤い光がゆらめくと、デニムシャツとデニムパンツに、紺のブレザーを羽織ったモデルが現れる。顔をおおうのはもちろんティアドロップのサングラス。前シーズン打ち出した1970年代のパリのブルジョワスタイルの踏襲ではあるが、今季はそれをデニムやベアショルダーのフリルドレスなどで南仏のリゾートムードに味付け。高級避暑地サントロペに出掛けた、不良に憧れるブルジョワのお嬢さんといったイメージだ。前シーズンの最注目アイテム、キュロットパンツも今季はデニムで提案している。

 今季も会場はユネスコ本部。シアーな白いドレープカーテンで区切られた空間には、鉢に植えられたススキや大きなアメジストが置かれ、クリーンで静ひつなムードが流れる。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)のクラフツマンシップへの探求は今季も続いており、いっそう研究熱に拍車がかかっているようにも感じられる。キーになるのは、ギピュールレース、シャンティイレース、マーガレットレースなど多様なレース。それをマットなコットンやサテンなどと組み合わせ、ギャザーたっぷりのドレスやブラウスに仕立てる。ジャケットやコートは、絞ったウエストから切り替えによって優美に生地が広がる作り。バレリーナのチュチュのようなパニエシルエットやラッフル襟もポイント。バッグの注目は、バケット型の新作“バルーン バッグ”だ。

 最近の「ヨウジヤマモト」のショーはいくつかのパートで構成される。前半はパターン力を生かした新しいカタチ作りへの挑戦で、今回は服の一部を丸や三角のグラフィックで構成し、ちらりとのぞく素肌もデザインの一部として見せた。中盤は画家の朝倉優佳とのコラボレーション。さらに終盤には珍しくバッグをたくさん登場させた。斜めがけをする大きな布のバッグはいずれも服と一体となる。バッグだけが主張をしない、さらには両手が自由になるデザインが「ヨウジヤマモト」らしい。