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キャンバスショルダーひとつとお気に入りの自転車で、どこへでも

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「普段は財布やスマホだけポケットに入れて、カバンすら持たないことも多いんです。我ながら少年みたいですが」と、照れくさそうに教えてくれた黒島さん。
「でも、去年の5月くらいに、以前から気になっていたオーラリーとチャコリのコラボバッグを買ったんです。ちょうど最初の緊急事態宣言中、自宅や近所で過ごすことが多くなった頃。『自転車に乗りたいな』と思い始めた時期でした。両手があく斜め掛けタイプで、エコバッグがいらない容量。かなり大きめですが、キャンバス素材だから軽くてかさばらないところも気に入っています。愛車でふらっと買い物に出かけるときの相棒はいつもこれで、行きはぺちゃんこ、帰りはたいていパンパンにふくらんでいます」

バッグの中身を見せてもらうと、ミニ財布やポーチ、折りたたみ傘などシンプルで実用的なアイテムが並ぶ。
「お財布とお水を入れた水筒と、あと本は何かしらいつも入っていますね。電子書籍を試した時期もありましたが、やっぱり紙に戻りました。それと一眼レフ、大学の合格祝いにいただいたニコンのF3です。最初に手にした本格派のカメラで、今でも一番よく使っています。最近の被写体はほとんどうちの犬ですが(笑)、遠出のときは必ず持っていきます」

実は黒島さんは以前、大学の写真学科で写真を学んでいた。しかし仕事はどんどん忙しくなり、学業と俳優業との両立が困難に。悩みに悩んだ末中退を決めた。
「全部が中途半端な状態がすごく嫌だったんです。仕事と大学とプライベート、消去法でひとつ削ったのが、大学でした。そのときから、『あれもこれも』から『これはいらない』『これはやらなくていい』って、自分にとって必要ではないものを仕分ける方法が身についた気がします。バッグの中身もそうですけど、私服もほとんど白か黒、それにデニムくらいで。あとは食ですね。コロナ以降、ご飯を玄米に変えました。玄米とお味噌汁ともう一皿……ブロッコリーを蒸篭で蒸してアボカドと和えたものとか。シンプルで簡単で、毎日食べても飽きません。必要なものがちゃんとあって、いらないものがない。そういう感じが私には合っているんだなって、最近気がつきました」

すっきりとした表情でそう語る。不安やプレッシャーとは無縁の佇まいだ。
「悩むこともあるけれど、これ以上考えても無理だと思ったら、一日ベッドから動かず、ごはんも作らず、何にもしない! 本も携帯もさわらない。そうするとわりと元気になる。私なりに見つけたリセット法です」
 彼女は自分の荷物を軽くする術を知っているのだ。